2014年06月24日

トルコギキョウの歴史はここから始まった~長野県 JAちくま~

今週のFlowerStoryは、長野県JAちくまさんのトルコギキョウです。
*トルコギキョウの花言葉:優美





[千曲市力石は日本一のトルコギキョウの町]
戸倉上山田温泉にほど近い旧上山田町力石。この地は昭和25年頃に日本で初めてトルコギキョウ
が栽培された場所。当初は単色のみだったトルコギキョウも、力石の育種家による品種改良の結果、
覆輪系品種が登場し、その後のトルコギキョウブームの火付け役となりました。現在でも力石地区
には全国的に有名なトルコギキョウの生産者が数多く点在し、日本一のトルコギキョウの生産地と
して評価されています。


↑JAちくまの春原さん(黒服)と、生産者小林(青服)さん。


[世界を席巻する日本のトルコギキョウ]
世界に何百種とあるトルコギキョウ。その品種改良は世界的に見ても日本の独占市場。2012年
に開催された世界新品種品評会フロリアードでは、日本の育種家のトルコギキョウが数多くの賞を獲
得しました。その中でも力石在住でトルコギキョウの日本一の育種家として名高い中曽根健さんが、
平成15年に完成させた「コサージュ」シリーズは、細かいフリルが見事な八重咲きの大輪品種で、
世界から非常に高い評価を得ている切り花です。まさに長野から生まれた世界ブランドと言えます。


↑中曽根さんの別BRAND「NF(ナカソネ・フリンジ)」シリーズ


[トルコギキョウの栽培苦労話]
トルコギキョウの栽培は、ハウス等施設栽培が主です(力石地区を車で走ると沢山のトルコギキョ
ウのハウスに出会えます)。春夏出荷のトルコギキョウは、冬に植えて約6ヶ月の栽培期間を経て
出荷されます。時間をかけて育てますが、肥料や日照・気候条件等によって、同じハウス内、同じ
品種同士でも、色や咲き方にバラツキが出てしまうのが難しい所。またトルコギキョウは次々に脇
芽が出来てしまうため、1本1本丁寧に芽かきを繰り返し行います。品質格差が出やすい花だから
こそ、力石の品質が際立つのでしょう。


↑脇芽を取り除く様子。これにより輪が大きく綺麗に育ちます(左)
 スリプス(害虫)により、花に白い斑点ができてしまうことも多い(右)
  


Posted by ヌボー生花店 山崎年起 at 09:00Comments(0)FlowerStory

2014年06月17日

特許をも獲得した小さなヒマワリ~北海道 JA新すながわ~

今週のFlowerStoryは、北海道JA新すながわさんのヒマワリです。
*ヒマワリの花言葉:憧れ





[長岡良治氏とJA新すながわさん]
北海道のほぼ中心に位置する砂川市。北海道内外で名の知れた菓子店が立ち並ぶ「すながわスイー
トロード」で有名な地域です。この砂川市で独特なヒマワリ栽培方法を編み出し、高品質なヒマワ
リを提供しているのが長岡良治さん。この長岡さんのヒマワリ栽培方法は平成8年には特許として
認められるほどの技術です。この「長岡式特許栽培」を全面的に採用している生産者集団は、北海
道内のごく一部の生産者のみ。JA新すながわさんは、その数少ない生産者集団の1つです。


↑4名の生産者で構成するJA新すながわヒマワリグループ。


[長岡式特許栽培の特徴]
ヒマワリは土壌の肥料を良く吸う植物です。だからこそ野に咲くヒマワリは土壌の栄養を吸収し、
茎が太く・大輪の花を咲かせます。しかしながら肥料分を多く含んだ切り花は、日持ちが悪くなる
傾向があります。長岡式特許栽培は、この真逆の考え方。肥料や水を極限まで切らし、ヒマワリを
細く小さく栽培することで、日持ちの良い、高品質なヒマワリを栽培することができる栽培方法です。


↑圃場の様子(左) 出荷直前の蕾のひまわり(右)


[JA新すながわさんからのメッセージ]
「まさに゛言うは易く行うは難し゛。この栽培方法を始めた当初は、いくら肥料を制限しても土壌
に残った残留肥料で、ヒマワリがなかなか小さくならなかった。4年目ぐらいからかな、やっと形
になったのは。この栽培方法で一番苦労するのは生育期の水管理。毎日1つ1つ花の様子を見て、
手で丁寧に水をまきます。ヒマワリの良し悪しは、茎の太さを見ること。小指ぐらいの太さならOK。
あと葉が小さくて、茎の色が黄身がかっているくらいが丁度いい。濃いのは肥料が多い証拠です。
ぜひうちのヒマワリ試して飾ってみて下さい!」


↑小指サイズのヒマワリが理想(左) 代表品種:サンリッチマンゴー(右)
  


Posted by ヌボー生花店 山崎年起 at 09:00Comments(0)FlowerStory

2014年06月10日

日本一のネギの町は、日本一のユリの町~埼玉県 JAふかや ユリ部会~

今週のFlowerStoryは、埼玉県JAふかやユリ部会さんのLAユリです。
*ユリの花言葉:威厳・純潔・無垢





[JAふかや ユリ部会の紹介]
埼玉県の北部に位置し、深谷ネギで有名な深谷市は、古くから球根の花き栽培が盛んな土地で、全
国屈指の花の生産地です。元々はチューリップ栽培のパイオニア的な地域でしたが、今ではユリの
生産量が日本一を誇る【ユリの町】として確固たる地位を築いています。特にLAユリに関しては、
日本で最初にこのお花に取り組んだ先駆者であり、現在も色数・数量・品質伴に、他産地を寄せ付け
ない不動の地位を確保しています。


↑LAユリの生産者の皆様。今年の大雪では甚大な被害が発生しました。


[LAユリの特徴]
LAユリとは、テッポウユリとスカシユリの交配種で、テッポウユリの大輪性とスカシユリの多彩
な花色を兼ね備えたユリのこと。スカシユリの特徴を受け継いでいるため、LAユリには香りがあ
りません。ユリの代表格である大輪のオリエンタルユリに比べて、①価格が安い②蕾も次々に咲き
変化を楽しむことができる③大きすぎず他の花と組み合わせてもバランスが良い、といった特徴が
あります。大輪ユリに次ぐ第2のユリとして定着しています。


↑出荷直前の圃場の様子(左) 生育途中。ここから花が段差になる!?(右)


[LAユリの生産過程]
ユリは球根を植えてから出荷まで、概ね60日。球根は冷蔵管理され出荷したいタイミングから逆
算してハウスに植え込みます。ユリの生産において最も難しいのは水管理。水は与えすぎると茎が
柔らかくなり、水が切れてもダメ。絶妙なタイミングで水を与える技術・感覚は長年の経験で養わ
れます。出荷されるLAユリは「重さ」と「輪数」によって等級分けされ、全国各地の市場へ旅立っ
ていきます。重さで細かく選別しているのは全国でもJAふかやのみ。LAユリ生産をリードする
プライドこそが最大のこだわりです。


↑ユリの球根は上根が栄養を吸収します。下根は支える役目のみ(左)
 水くれはスプリンクラーを活用、水くれはタイミングが命(右)

  


Posted by ヌボー生花店 山崎年起 at 05:00Comments(0)FlowerStory

2014年06月03日

この芍薬を楽しまずして花好きは語れない~飯山市 JA北信州みゆき~

今週のFlowerStoryは、飯山市JA北信州みゆきさんの芍薬です。
*芍薬の花言葉:恥じらい、はにかみ





[JA北信州みゆきさんの紹介]
中野・飯山地域は、生産量全国一の芍薬の名産地。まんまるな可愛らしい蕾からは想像出来ない大輪の
花が咲き誇る。そんな魅力を持つ芍薬は、現在初夏を代表する花として人気の高いお花です。飯山市を
中心としたJA北信州みゆき管内では、約70名の生産者が芍薬を生産されており、モットーは「必ず
開花する豪華な芍薬を提供すること」。全生産者がその想いを胸に最高級の芍薬を提供されています。

[芍薬の開花にこだわる理由]
「芍薬は購入しても半分も咲かない。開花しない芍薬はゴミも同然」。数年前JA北信州みゆきの芍薬
生産者は調査で訪れた花市場にて、花屋さんから衝撃的な言葉を耳にします。「我々はなんのために花
を生産しているのか?」市場から帰りの車中、生産者皆が「必ず咲く芍薬を提供する!」で想いが一致
します。元々芍薬は日持ちが長い切花ではありません。ある程度咲かせて出荷すると「咲きすぎ」と言
われ、固い蕾で出荷すると「咲かない」と言われる。その中間の一瞬の絶妙な出荷タイミングを、部会員
全員で研究し尽くし、全員で徹底し続けていくことでしか、「開花して長持ちする」芍薬を提供する術
はありません。「芍薬ほど変化が面白い花はない。それは開花してこそ楽しめる。その魅力をより多く
の人に楽しんでほしい。」そんな想いがこめられた満開に咲く芍薬こそが、本物の芍薬なのです。

[5年の歳月をかけて芍薬は出荷されます]
以前からJA北信州みゆきさんは芍薬の輪の大きさにこだわりを持って栽培されています。芍薬の株を
植えてから4年間は株を生育する期間に当てられ、一切出荷は行われません(他産地は3~4年目から
出荷されます)。5年目の芍薬は1本1本の蕾が大きく、咲いた時は非常に豪華に。1度見たら間違い
なくファンになる、JA北信州みゆきさんの芍薬には、人の心を惹きつける魔力が備わっています。



↑一面に広がる芍薬畑。これが咲き誇った時、それはまさに花畑に!


↑1株に30本以上の花がつきます(左) 2年目の株。株育成中(右)


↑出荷する株も大半は花を落とすることで、株育成し来年に備えます(左)
 JA北信州みゆき販売担当の藤巻さん♪(右)

  


Posted by ヌボー生花店 山崎年起 at 05:00Comments(0)FlowerStory