2014年01月28日

ラナンキュラスブームの立役者~宮崎県 綾園芸~

今週のFlowerStoryは、綾園芸さんのラナンキュラスです。
*チューリップの花言葉:魅力的、美しい人格





[綾園芸:草野修一さんの紹介]
宮崎県の中西部に位置する町、綾町。この地は町おこしの成功事例として知られ、自然の中での人
間らしい生活を求める移住者が後を絶ちません。元々神奈川県でラナンキュラス等の育種・栽培を
行っていた草野修一氏が、ラナンキュラスの栽培に適した場所を求め、移住地として選んだ場所が、
この綾町。草野修一氏は1990年に綾園芸を設立して以来、父であり同じく育種家の草野総一氏
の悲願であったラナンキュラスの普及活動に邁進し、現在のラナンキュラスブームの立役者として
花業界に大きな貢献をもたらした人物です。


↑(左)多種多様なラナンキュラスを栽培 (右)草野修一さん(新聞の切り抜き)


[多数の受賞歴]
草野修一氏が育種した品種は、現在日本に流通するラナンキュラスの約5割を占めています。近年
のラナンキュラスの需要拡大に大きく貢献したことが評価され、2009年には日本フラワービジ
ネス大賞を受賞。2012年、10年に1度オランダで開催される国際園芸博覧会(フロリアード
2012)で入賞し、更にその年で最も魅力的な品種に贈られる日本フラワー・オブ・ザ・イヤー
2012の切花部門にて最優秀賞を受賞しました。


↑(左)モロッコシリーズ:ハッドゥ (右)ラックスシリーズ:ヘラ


[光るラナンキュラス:ラックスシリーズ]
前述の日本フラワー・オブ・ザ・イヤー2012にて最優秀賞を受賞したのがラックス・アリアド
ネ。スプレー咲きの花弁がエナメルのように光り、既存品種にない斬新さが評価されました。光るラ
ナンキュラスは10年以上前にスペインのカナリア諸島産の原種を見つけ、長い年月をかけて地道
な交配作業を繰り返した結果、光るラナンキュラス・ラックスシリーズの商品化に成功。「不可能
と思ったことも、やってみないと分からない」そんな信念を貫き、今も新品種の育種に邁進します。


↑(左)ラックス・アリアドネの受賞写真 (右)アップ写真。この花が輝きます!


*FlowerStoryをさらに詳しく解説した動画です。

  


Posted by ヌボー生花店 山崎年起 at 09:00Comments(0)FlowerStory

2014年01月21日

富山とオランダとチューリップ~富山県センティア~

今週のFlowerStoryは、富山県センティアさんのチューリップです。
*チューリップの花言葉:思いやり




[センティアさんの紹介]
富山県西部の町、砺波市(となみし)。この地はチューリップの球根栽培面積が日本一を誇り、毎
年ゴールデンウィーク期間中に開催されるチューリップフェアでは、30万人もの来場者を迎える
まさにチューリップの町。この地で、チューリップの切り花栽培に情熱を燃やすのが、センティア
の伊藤仁嗣さん。日本一の花市場、大田市場内でもトップクラスの品質評価を受ける、新進気鋭の
生産者さんです。


↑(左)砺波チューリップ公園の様子 (右)センティアさんは地域ブランド認定品


[品種選定へのこだわり]
伊藤さんはチューリップ大国のオランダにて研修時代を過ごしました。切り花チューリップの球根
生産は、ほぼオランダが独占おり、現在も伊藤さんは毎年オランダを訪れます。球根農家を一軒一
軒回って、球根の状態を自分の目で見て確かめ、最新の品種や珍しい品種、また定番品種でもより
良い状態の球根を、直接交渉して買い付けます。「お客様が見た瞬間、好きになってもらえるよう
な品種選定を心がけています。状態をみて球根を選んでいるので、毎年品種が入れ替わります。」


↑(左)ピンクの八重咲き:ピサロ (右)黄色のフリンジ咲き:モナムール


[オランダ式のボックス栽培]
伊藤さんはオランダでの研修を活かし、オランダ式のボックス栽培を導入しています。ボックス栽
培は土壌に球根を植えるのではなく、ボックスに球根を植えて栽培する技術。「土壌に植えるより
も発芽から開花までをコントロールしやすく、安定出荷が可能。土壌栽培だと出荷量に波ができや
すく、出荷量を調整するために採花してから冷蔵庫で保管したりすることがあります。私のチュー
リップは全て採りたて。長く楽しめますよ!」


↑(左)ボックス栽培の様子 (右)活力ある発芽。花は根がいのち!


*FlowerStoryをさらに詳しく解説した動画です。


*クリザール社のチューリップの首伸ばし抑制処理の実験結果です。
  


Posted by ヌボー生花店 山崎年起 at 09:00Comments(0)FlowerStory

2014年01月14日

未来に残していきたい花~群馬県 みやび花園~

今週のFlowerStoryは、群馬県みやび花園さんの切花パンジーです。
*パンジーの花言葉:物思い、思想




[みやび花園さんの紹介]
野生の王国、群馬サファリパークのほど近く、群馬県富岡市で花卉栽培を営む、みやび花園の佐藤
雅志さん。花を作り続けて25年、草花の栽培技術は、マイスターと呼ぶに相応しく、日本を代表
する生産者の一人です。そんな佐藤さんの代名詞、それが切花パンジー。20年以上前に初めて見た
美しい色のパンジーに感動し、もっといろんな色を作りたい、それが草花栽培を始めたキッカケで
した。現在も切花パンジーの第一人者として、新品種の育種にも、積極的に取り組んでいます。


↑(左)圃場ではパンジーが咲き誇る! (右)出荷は全て水入りバケツで。


[切花パンジーが出来るまで]
切花パンジーは、夏場に種を蒔いてから出荷までの約6ヶ月間、手間ひまとの戦いです。佐藤さん
のパンジーは出荷時には丈の長さが30cm以上もありますが、これは生育段階で次々に咲く花を
摘み取り続け、茎と株に栄養が蓄えられるからこそです。また湿度はシミ・カビの原因となるため、
24時間除湿が欠かせません。さらに、化学肥料ではなく手間のかかる有機肥料を使うことで、病
害虫に強いパンジー栽培を目指しています。切花パンジーの裏にはこうした苦労が隠されています。


↑(左)花が咲いたら何度も摘み取ります。 (右)骨の折れる作業とはまさにこの事…


[草花栽培への想い]
「最近は作りやすい花や儲かる花、に生産が傾斜している。珍しい花や面白い花が減ってしまった。
切花パンジーも、手間はかかるし、同じ品種でも花色になってしまうから、本当に難しい。そんな
花は生産者に敬遠される。でも草花には草花の魅力があって、消費者のニーズも高い。私が続ける
限りは、こういった花を作り続けていきたい。」日本は世界一、多様な花が生まれる国。草花を愛
する心は、日本の古き良き文化なのだと思います。


↑(左)佐藤さんのパンジーは全てフリル。 (右)佐藤さん。花屋から絶大な人気。


  


Posted by ヌボー生花店 山崎年起 at 05:00Comments(0)FlowerStory

2014年01月07日

朝と夜、これってホントに同じ花?~長野県 JA信州諏訪~

今週のFlowerStoryは、長野県JA信州諏訪さんのアネモネです。
*アネモネの花言葉:はなかい恋、恋の苦しみ




[JA信州諏訪さんの紹介]
本州のほぼ中央に位置し、諏訪湖周辺から八ヶ岳西麓地帯に広がる広域な地域を管轄するJA信州
諏訪。標高が高く、一日の温度差が大きく、晴天率が高い。そんな全国で指折りの恵まれた栽培環
境下で育った高品質なお花は、全国各地へ供給されています。そんなJA信州諏訪が全国一の生産
量を誇る冬の花「アネモネ」。JA信州諏訪のアネモネは他の産地に比べて、丈がしっかりと伸び、
また茎も非常に固くしっかりとしており、品質面で非常に高い評価を受けています。


↑(左)葉っぱだらけのアネモネ栽培。 (右)葉をかき分けると芽が隠れています。


[アネモネの魅力]
鮮やかな色の花びらが可愛いアネモネ。でも実はこれ、花びらではなく「ガクヘン(=ガク)」。
ガクは花びらと同じような働きをしますが、アネモネは花びらのない植物。また、夜になるとガク
を閉じ、朝の光とともにガクを広げます。温度と光で開閉を繰り返し生長していくユニークな植物
で、開くたびにどんどんお花は大きくなっていきます。お花を長持ちさせたい時は、できるだけ暗
くて涼しい場所に飾りましょう。ガクを閉じた時も開いた時も、それぞれ違った魅力があります。


↑(左)ガクが閉じた状態。可愛い♪ (右)ガクが開いた状態。豪華!!


[高品質のお花を届けるために]
アネモネは首が曲がりやすい切花の1つ。従来はお花を横に寝せた状態で梱包・出荷しており、輸
送中にお花が上に伸びようとするため、首曲がりを助長していました。JA信州諏訪では、お花を
立てた状態で出荷できる出荷箱を導入し、さらに輸送は全て温度管理のできるトラックで輸送する
ことで、畑で咲いていた時の鮮度を維持するよう努力しています。「アネモネは本当に魅力的な花。
沢山の方々に魅力を感じて頂ければ」(平出さん)そんな想いがアネモネに込められています。


↑(左)アネモネ専用の縦型の輸送箱。 (右)生産者のお一人、平井さん。

  


Posted by ヌボー生花店 山崎年起 at 09:00Comments(0)FlowerStory